全県交流会in柏崎「東京電力柏崎刈羽原子力発電所」見学会の報告

「県会報8月号」他でご案内をした標記事業が柏崎で開催されました。見学目的は、「福島の事故後の安全対策」と原子力発電の仕組み、安全性、現在の取組みについて理解を深め、エネルギ-問題や原子力発電所の役割について考察する機会になる。地元民謡に「柏崎から椎谷まで間(あい)に荒浜荒砂悪田(あくだ)の渡しがなきゃよかろ」と唄われ、かって不毛の地として未開のままであった大砂丘地は、市街地から向かうと荒浜~高浜までの砂丘地帯に東京ド-ム91個分の敷地面積を有する。荒浜から天領の里出雲崎に向かう北国街道は、椎谷・宮川の高浜地区につながる地域になるので、前回(H30)の交流会に参加された方は風景が思い浮かぶことと思います。
立地経過の概要は昭和43年(1968)から調査が始まり、翌年 市議会誘致決議により幾多の困難を克服しながらも着実に進展してきたエネルギ-政策の一翼を担い57年を経ている。 
※報告書は「原子力発電所」の見学内容について記載します。

○1. ビジタ-ハウス 
:案内者林様から(原子力発電所に長年勤務)
※見学内容と安全性を高める日々の取組み 
1. 発電所の全体概要、柏崎市(1~4号機)刈羽村(5~7号機)にまたがって位置し合計7基の発電設備がある。型式は沸騰水型、改良型沸騰水型の総電気出力821万2千kwの発電容量を有している。
2. 2~4号機は2007年7月中越沖地震以来停止し、2012年に6号機が停止し、その後は全基運転を停止している。
3. 現在構内で使用する電気は関東から送電されている。東京電力の安全に対する取組み、現在の状況に等について。

○2. サ-ビスホ-ル :発電所の敷地全体のジオラマや縮尺1/5原子炉模型で原子力発電の仕組みや中央制御室を模型や映像で学ぶ。


○3. 構内見学 :中型バスに乗換え、正面ゲ-トでバスの中にて本人確認を受ける。(ビジタ-ハウスの説明会も事前届出書類と本人確認証票原本チェックがある)。→構内に移動・順路→中央交差点→淡水貯水池(冷却水の水源:海抜約45mに設置、湧き水をポンプにて揚水)→展望台(現在資材置場)から構内を一望(海抜約55m)→非常時の送水車・消防車・電源車・代替熱交換器車の配備、宿泊棟→5・6・7号機(地下40mまで掘削、総体8F建て・地上は3F建てになる。)→防潮堤:海抜15m、約1km(5~7号機)→放水口・取水口(貯留堰・北防波堤)→発電機車(GTG)の配置→1~4号機(地下50mまで掘削)海抜5mに位置する。→防潮堤(鉄筋コンクリ-ト製の堤防:海抜15m、約1.5km、→海側に特殊フェンス取付け工事中(取水口・放水口・南防波堤)→旧北国街道跡→生コンプラント設備→防火帯→事務所棟・超高圧開閉所→2箇所目の基地GTG・送水車・消防車・電源車・代替熱交換器車の配備を眺め、1時間の見学が終了した。

○4. 見学後の質疑応答(ビジタ-ハウス)林様 
次の質疑応答がありました。
イ. 地震により海岸が隆起した時の冷却水取水について
ロ. 建屋や付帯設備等は安全対策を十分講じているが、構内道路の対策について
ハ. 他
ニ. 再度確認した※安全対策―① 津波・地震から守る ②電源を絶やさない ③原子炉を冷やし続ける ④放射性物質の放出を抑制
ニ. 発電所の安全性をさらに高めるための取組み
①訓練 ②セキュリティ ③コミニュケ-ションについて

○5. 見学を終えて :中越沖地震以降や福島の事故から新たな規制基準の施行以降の地震・津波対策工事、壮大な施設建屋、構内作業従事者は1日6500余人、8割が県内在住者とのこと。  県央地区外の新潟、隣接する南魚沼、上越からの参加も多く、「再稼働」についての判断も問われている時、個々に深く学ぶ有意義な見学会になりました。 又、見学を受入れていただきました東京電力の関係者様、ご案内いただいた林様始め、サ-ビスホ-ルの方々に深く感謝いたします。

<参考文献>
パンフレット冊子:柏崎刈羽原子力発電(2025/3)
  

※備考)エネルギ-との関わりについて:
  柏崎・刈羽地域は古くは「日本書紀に越の国に燃ゆる水」の記録、西山地区では草生水祭りで歴史を伝える。明治中期に西山油田開発が始まると、柏崎に多くの製油所が建設され、昭和初期に生産量はピ-クを迎え、その後2001年に閉鎖、旧日本石油発祥の地になる。 関連産業の事業所INPEX柏崎工場もあり、平井地内に天然ガス採掘跡に水素ガス貯蔵関連プラントが建設中。
地元企業は水素エンジン車や水素ステ-ション建設工事が着手され、脱炭素化への取組みも進んでいる。

○懇 親 会 16:30~ 
帰路のお天気も黒い雲は米山の向こうにあり、会場に向かうバスは見学会を終えてホットした車中のひとときに会話も弾む。海岸道路は荒浜を過ぎ、松波地区を通過、左手はブルボン本社工場、集合場所の柏崎駅前には高層社屋がある。通称悪田・安政橋を渡ると海側は汚水処理場センタ-、その先は学校区、スポ-ツ施設の武道館・アクアパ-ク・陸上競技場の学校区に入る。市街地に向かう道路は原発からの帰宅車輌も多くなる時間帯になってきた。 懇親会場には、三条からの参加者をお迎えするまで、しばしの休憩タイム。
予定のお開きの時間はリクエストもあり、1時間遅れの電車に変更。
これより小林副支部長の司会で開宴。

県央地区担当熊倉副会長様の開宴の挨拶は「これからの建築士の役割について」話されました(要旨:手書き図面→CAD→AIが判断して描く時代)。
齊藤上越支部長、ヘリテ-ジやまちづくりの磯田氏、杉山西蒲原支部長 他、各支部からも若手が参加。熊倉副会長の挨拶の話題もあり、これからの建築士が関わる生業や役割、又 地元の話題等を熱く語り盛会にお開きとなりました。
※)見学会開催に当たり、各支部様に参加者名簿の作成、施設ならではの書類等を取りまとめていただいたこと、感謝申し上げます。理事会で、昨年から事業の検討を始めて、無事開催できましたことをご報告いたします。皆様 お疲れ様でした。(R7.9.27 内山)